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フランクルと「共苦」の思想

フランクルと「共苦」の思想

通常価格 ¥2,200 JPY
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著者/杉岡良彦
出版社/ヘウレーカ
サイズ/224ページ 19*13cm
発行(年月)/2025年6月

 

人生から問われている

人間の本質を「苦悩する人間」ととらえ、私たちは「生きる意味を人生から問われている」と考えたV. E.フランクル。避けられない苦悩に意味を見出し、それに対する態度を決断すること、と同時に他者の苦悩できる力を信じ、その苦しみの中に意味があると確信し共に苦悩すること──、この勇気によって人間は完全に自分自身となり、他者との社会的なつながりが生まれる。臨床で苦しみを抱える多くの患者に接し、自らの苦悩にも向き合ってきた医師で医学哲学者である著者が、フランクルの思想を通して「生きる意味」と人間存在の深みを問う。

<目次より>
第1章 フランクルが考えたこと──人生からの問いかけに応える

1 フランクルについて──個人的な体験を通じて

2 フランクル思想のエッセンス
 1 生きる意味と決断
 2 人生から問われている人間
 3 実存的空虚とロゴセラピー(実存分析)
 4 次元的人間論と精神的次元の特徴
 5 科学主義批判とニヒリズム批判
 6 病むことのない/破壊されることのない精神的人格
 7 死の意味

第2章 生きる意味を科学はどうとらえるか──寿命や心身の健康への影響

1 生きる意味に関わる科学的研究
 1 人生の目的と死亡率・心血管疾患
 2 人生の目的と死亡率
 3 人生の意味/価値が与える心理的社会的行動的影響
 4 人生の目的と心血管疾患およびそのメカニズム
 5 副次的結果としての健康影響──フランクルからの注意

2 リカバリー(回復)と生きる意味

第3章 生きる意味への進化論の影響──優生思想の視点から

1 進化論の基本的な主張

2 進化論はなぜ重要か──三つの観点から
 1 進化論の影響1──キリスト教を中心とする世界観や医学・科学への思想的影響
 2 進化論の影響2──社会への影響:社会ダーウィニズムと優生思想
 3 進化論の影響3──生きる意味への影響

第4章 生きる意味をめぐる諸問題──生かされている人間への気づき

1 やまゆり園事件
 1 事件の概要と問題点
 2 事件の背景にある優生思想
 3 「生きるに値しない命」とパーソン論

2 安楽死の問題
 1 海外で安楽死を選んだ多系統萎縮症の女性
 2 安楽死と尊厳死

3 自己決定権と自己決定権批判
 1 自己決定権
 2 自己決定権批判

4 和田秀樹の主張が受け入れられるのはなぜか

5 内観療法と生かされている人間への気づき

6 「周囲の人に迷惑をかけてまで生きたくはない」──自立神話批判

第5章 共感・共苦への科学的アプローチ──なぜ私たちは他者を助けたいと思うのか

1 共感と向社会的行動
 1 共感・共苦と報酬系
 2 ボトムアップとトップダウンのメカニズム
 3 進化から見た共感と向社会的行動

2 共感・共苦に関する人を対象とした研究
 1 共感が風邪症状の改善に影響を与える
 2 病院チャプレンの共苦が患者のうつ症状を軽減する
 3 専門職の共感/共苦とトップダウンのメカニズム

3 社会的痛みと孤独
 1 孤独と孤立の違いと「社会的痛み」
 2 孤独と脳
 3 孤独と死亡率

4 孤独と共苦

第6章 苦悩する人間──苦難に対して私たちはどんな態度をとるのか

1 「態度価値」と苦悩する人間
2 根源的な人間観としての「苦悩する人間」
3 苦しみのキリスト教的意味
4 ダライ・ラマによる苦悩の解釈と代理苦という思想

第7章 共苦する人間──他者の苦しみに向き合う

1 共苦する人間とは
 1 苦悩する人間から共苦する人間へ
 2 病む人の苦しみに向き合い、手を差し伸べる──V・V・ヴァイツゼカー
 3 ダライ・ラマによる「共苦の思想」

2 共感する人間と共苦する人間の違い
3 共生社会と共苦社会──無関心な棲み分け批判
4 呼び覚まされる人間性
5 共苦の三つの意味と医療者の原点としての共苦
6 安楽死問題への応答
7 やまゆり園事件への反論と人格の問題

第8章 共苦する勇気へ──苦悩する人とともに歩むために
1 ある患者さんのこと
2 共苦する勇気

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