新しい「公共」入門
新しい「公共」入門
著者/山本圭
出版社/岩波書店
サイズ/210ページ 17*10.5cm
発行(年月)/2026年9月
日常の関係性があってこそ、相談できる
どうしてこんなにも話し合えないのか? アーレントやハーバーマスだけでなく、日本における「公共」概念の変遷や、オードリー・タンによる新しいアイデアまで、気鋭の政治学者が古今東西の思想や実践を振り返り、これからの「公共」のあり方を考える。認定NPO法人抱樸理事長、奥田知志さんへのインタビューも収録。
<目次より>
はじめに
第1章 そもそも「公共」ってなんなのか?
1 「公共」は誰のもの?――排除と包摂
排除デザインのある街
オリンピック・パラリンピックで追い出される住民たち
みんなの場所だから――映画『パブリック――図書館の奇跡』
2 公共の意味を解きほぐす
official/common/open
複雑に絡まる三つの意味
「おほやけ」「公」「public」
アジールとしての公共空間――網野善彦『無縁・公界・楽』
公と私
理性の「私的使用」と「公的使用」――カント「啓蒙とは何か」
公共圏と親密圏
3 誰が公共を担うのか?
フォーマルな公共
インフォーマルな公共
「滅私奉公」から「新しい公共」へ――戦後日本における公共の変遷
日常のなかのインフォーマルな公共空間
公共をめぐる状況の変化
第2章 公共をめぐる政治思想
1 グローバル化と公共の危機
拡張する世界――ウォーラス「大社会」
現実は理想通りにはいかない――リップマン『幻の公衆』
大共同社会を創出する――デューイ『公衆とその諸問題』
2 「共通世界」と「市民的公共性」
大衆社会の誕生
アーレントの大衆社会批判
政治の原風景としての古代ギリシャ
同じテーブルを囲んで――アーレント『人間の条件』
公的領域――自由な「現われの空間」
私的領域――「世界」が失われた空間
地球上には複数の人間がいる
議論の舞台は喫茶店――ハーバーマス『公共性の構造転換』
3 公共と民主主義
「論理の力」を重視する――熟議民主主義の立場
熟議民主主義の問題点
批判するのはよくないの?――闘技民主主義の立場
公共空間は中立的なの?
公共と民主主義のずれ
公私の境界を問い直す
4 現代の公共哲学
「正義の原理」をもとめて――ロールズ『正義論』
共通の土台を探る――ロールズ『政治的リベラリズム』
21世紀の公共にむけて
第3章 いま、公共はどこにある?
1 公共を破壊する自己責任論
公園と有料プレイグラウンド
イデオロギーとは何か?
成功は自分の努力次第?
日常に潜むイデオロギー
新自由主義イデオロギーの台頭
2 ソーシャルメディアと公共の断片化
オールドメディアの凋落
個別化された世界
感情を動員される若者たち
分断を引き起こすポピュリズム
3 公共のない民主主義
老ハーバーマスの診断
闘技民主主義も大変......
公共圏の複雑化
4 新しい公共圏の可能性――思いがけない出会いを創出する
失われたセレンディピティを求めて
自分が楽しむ「マイパブリック」
ごちゃごちゃを楽しむ「難民・移民フェス」
SNSが橋渡しする未来
第4章 公共の実践者に会いに行く――NPO法人抱樸(ほうぼく)理事長・奥田知志さんへのインタビュー
学生時代に感じた社会の矛盾
「こっからここまで」をやめたい
「程度」でものを考える
「怖いまち」から「希望のまち」へ
誰もが身を寄せられる「軒」的空間
「わからない」が恐怖を生む
6億円もの寄付が集まった理由――「埋める」寄付と「目指す」寄付
世の中の価値軸を増やしていく
「おせっかい」と「教養」
「きづき」と「つなぎ」
共感不可能性の共感
インタビューのあとで
しなりのある公共空間をつくる
参考文献
写真のクレジット
あとがき
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