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表現が生まれる

表現が生まれる

通常価格 ¥4,620 JPY
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著者/中津川浩章
出版社/スタジオケイ
サイズ/208ページ 21*15cm
発行(年月)/2026年8月

 

筆を走らせながら発する声

障害者アートを、読む美術展のように堪能できる一冊。彼らの表現活動に30年以上伴走した著者の語りがあたたかく沁みる。美術家としての視点から36作家を紹介し、創作の背景、作品の見方、巨匠作品との共通点、文学や音楽につながるイメージなどを解説。「アートは社会の下部構造」と説く著者のまなざしは、障害の有無に関係なく、すべての人が持つ「欠損」に向けられる。障害者アートを見る目が変わる。その先に浮かび上がるのは、すべての人が自由に生きるためのヒント。障害者アートから始まる知と生の探究はスリリングですらある。誰もが生きづらさを抱える時代、私たちに必要な「表現」とは? NHK厚生文化事業団ウェブサイト「Hearts & Arts」の人気連載を再構成、アートの根源をたどる美術書にして思想書。

「彼らの作品を見ていると、ある瞬間、自分の中にプリミティブな感情がふいに湧きおこることがあります。それは破壊衝動だったり、怒りや悲しみだったり、好きなことを好きなだけ繰り返していたい願望だったりします。私たちはもっと自由に表現してもいい、しなくてはいけない、そう思わされるのです。
 障害がある人も健常な人も、どんな人でも豊かな創造性を持っています。ただそれを表現する機会と場所は、たいてい成長とともに奪われてしまいます。障害がある人は、残念ながら、社会の中で満足な教育や働く場を得ることが難しいのが実情です。しかし、それゆえに、現代社会の約束事からかろうじて自由でいられたともいえます。
 障害者福祉施設という場が、今日の資本主義社会の制度に含まれながら、その価値観の外にあったことも大きいでしょう。その中で制作する作家は、自分が心地よくいるために必要とする行為を追求します。感覚を徹底的に肯定する自由な精神は、作品を生き生きと輝かせます。その創造性は多くの人にとっては失われし宝物です。
 この社会で、生産性や効率性からもっとも遠く見える場所に、むしろそうした場所にこそ、奇跡的な表現が生まれてくる。それは不思議でもあり、当然なのかもしれません。「生きること」と「表現すること」が不可分に結びついている作品の数々は、人間にとってアートの源泉はどこにあるのか、そして真の豊かさとは何だろうかと問いかけてきます。」(はじめに より)

 

<目次>
はじめに

Chapter1 溢れ出すナラティブ ―隠された痛みの物語

風間直子|切実な弱さが持つ強さ《クリスマスローズ》
トダヒロユキ|数奇な人生を記す率直なナラティブ
栗田淳一|自分の中のアールブリュットを探す
佐藤祥子|心の中のストレートな表現《塗りつぶされたバス》
深田 隆|圧倒的不自由への抗いから生まれる芸術《深海の自画像》
藤岡友美|純粋でエネルギッシュな愛の力《ロールケーキ》
安井海人|超自然な想像力を導く独自のビジョン《問い》
浅野春香|深い孤独から自分の世界を拓く《ヤマイノエ 2》

Chapter2 繰り返す自由 ―反復から表現がうねりだす

齋藤裕一|文字の呪術的な力を自由に表現《ドラえもん》
土谷紘加|デジタルと有機の感覚が融合するアイロンビーズ《COLORNY》
萩原幹大|過去から未来まで紡がれる物語《終わりのないノート》
宮林聡太|分厚いシールの地層に現れる有機的変容《No.11》
高橋 創|渦巻きに潜む人間の切なる叫び
渡辺孝雄|塗り重ねられた絵具が変容する
塚本愛実|独自の手法で1000 体以上を制作《琴座》《鯨魚座》《射手座》《イルカ座》
伊藤愛梨|はじめての喜びを全身で表現する《あきいろ》
清水千秋|生きている線

Chapter3 世界を捉える ― 個人の内面から広がる宇宙

西川泰弘|過敏な感覚が個性となり才能となる《僕のすべて》
山本真子|ポジティブなエネルギーで描く記憶と想像
《みんなのぷうる ほてるだよ♡ うんどうかい♡ ゆうえんち いちごのおみせ》
阿山隆之|ぴったりの素材と技法で表現が開花《カエル 21匹》
藤原正一|穏やかに豊かに生きた時間が集積する《冬の丘》
吉田裕志|行為のすべてが表現につながる《コニーアイランド》
上田匡志|日々のやりとりから生まれるアート
中武 卓|生命力あふれる表現が見る人を幸せにする《ガラス瓶の草花》
後藤拓也|家のイメージが喚起する普遍的な物語《家》
吉田楓馬|異形のものたちが肯定する原始の感覚《シリトリモンスター》
髙坂洸奈|言葉と図像にすべての祈りをこめる《国家の裁判台》
hideki | 9 年の歳月をかけた「街」が動きだす《北仙台駅》

Chapter4 言葉を越えて ―アートの根源にある非言語のコミュニケーション

杉浦 篤|アートの根源を問う、触覚としてのイメージ
中村真由美|感覚に訴える「生」のきらめき《マゼランペンギン》
かつのぶ|強度と緊張感の中で光る感覚の揺らぎ
山田恵子|全体と細部の間で感覚が共振する《北極ペンギン》
姫野 暁|鋭い観察力で動物の存在感を表現《ドリル》
前田 貴|見る人を温かく包みこむ「せつなさ」《キャリアカー》
川上建次|鮮烈な色彩で語られる現代の神話《流血雄也》
四天王寺和らぎ苑の表現者たち| 40分をかけた2cmの線に奇跡が宿る

コラム|アートで社会をつなぐ
解説|表現の革命をめざして
The Birth of Expression : Perspectives from Art and Disability
謝辞

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