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到来する女たち

到来する女たち

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著者/渡邊英理
出版社/書肆侃侃房
サイズ/400ページ 19*13cm
発行(年月)/2025年6月

 

「わたしのフェミニズム」のはじまり

不揃いなままで「わたし」が「わたしたち」になる──。1958年に創刊された雑誌『サークル村』に集った石牟礼道子、中村きい子、森崎和江が聞書きなどの手法で切り拓いた新たな地平を、『中上健次論』が話題を呼んだ著者が「思想文学」の視点で読み解く。

「『サークル村』を通して、彼女たちが手に入れたのは、儚い「わたし」(たち)の小さな「声」を顕すための言葉であったにちがいない。この新しい集団の言葉は、異質なものと接触し遭遇することで自らを鍛え、異質な他者とともに葛藤を抱えながらも不透明な現実を生きようとする言葉でなければならなかった。支配や権力、垂直的な位階制や序列的な差別から自由で、不揃いなままで水平的に「わたし」は「わたしたち」になる。 三人の女たちは、そのような「わたし」と「わたしたち」を創造/想像し、「わたし」と「わたしたち」とを表現しうる言葉を発明しようとしたのではなかったか」(渡邊英理)

・石牟礼道子(1927-2018)【熊本】……熊本県天草生まれ。詩人、作家。生後すぐに水俣へ。著書に『苦海浄土』『椿の海の記』『西南役伝説』ほか。

・中村きい子(1928-1996)【鹿児島】……鹿児島生まれ。小説家、作家。母をモデルにした小説『女と刀』は大きな話題を呼び、木下恵介監督によりドラマ化もされた。

・森崎和江(1927-2022)【福岡】……朝鮮大邱生まれ。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、58年筑豊炭鉱近郊の中間に転居、谷川雁らと『サークル村』創刊。著書に『まっくら』『慶州は母の呼び声』『非所有の所有』など。

 

<目次より>    
はじめに
1 集団・聞書き・女たち
2 「思想文学」として読む
3 三人の横顔
4 本書の構成と概要

第1章 はじまりとしての『サークル村』
1 戦後文化運動と『サークル村』   
2 『サークル村』の「女性表現」  
3 九州の「南」  
4 「南」の女たち  
5 「南九州」の集団と文化  
6 「戦争小説」/「戦後文学」  
7 「エロス」と女たち  
8 〈非所有の(非)所有〉  

第2章 母の肖像/群像──中村きい子『女と刀』
1 娘による母の伝記  
2 「南九州」の宗教と「差別」  
3 下級武士の娘  
4 不適切な擬態  
5 意に沿わぬ結婚  
6 抜かれぬ刀、女の争闘  
7 〈借り物〉からはじめる  
8 あらがねの肌と性愛(エロス)

第3章 連なり越えゆく世界を感受する──石牟礼道子『椿の海の記』
1 あわいを漂う言葉  
2 交通と(被)開発の時空  
3 分解と再生産、「生類世界」とコモンズ  
4 家父長制とケアの実践  
5 ケアする人びと  
6 「女」という階級  

第4章 不透明な他者と女同志の絆──森崎和江『遙かなる祭』 
1 小フィクション説という言葉の機構  
2 放浪という運動性  
3 日本の二重構造  
4 批判としてのフィクション  
5 階級/性/「民族」
6 異郷の神々と女たちの「交流」  
7 海と女の思想圏

第5章 交差する言葉、流動する女たち   
1 「失対人夫」、「都市雑業層」  
2 階級と性、あるいは労働と愛  
3 「流民/型労働者」と被差別民  
4 「流民」の女たち  
5 到来する女/言葉


あとがき

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