循環するケア
循環するケア
著者/村中李衣、なかじままなぶ
出版社/ミズノ兎ブックス
サイズ/160ページ 18*26cm
発行(年月)/2026年6月
そこから戻ってこられる
「寄り添う」から「立ちあう」へ。「ケアする/される」の関係をほどき、人と人が共に在る新しいケア。国内外の絵本作家との協働で生まれた、対話をひらく8つの表現ワークを収録。
本書は、支援職の方だけに向けられた専門書ではありません。生きる旅の途中にいる、すべての人のためのワークです。支えることと支えられることが循環していく関係を大切にしています。描いたもの、語ったこと、そして沈黙さえも、あなたの中の「わたし」に出会う時間になるでしょう。
村中 李衣〈児童文学作家・児童文学者 山口学芸大学客員教授〉
絵図ワークは、言葉になる前の感情や記憶を外在化し、本人と支援者のあいだに共有可能な第三の場をつくり出すことで、語れなかった経験に触れるための新たな通路を開く。また、支援者と本人の関係性を水平化し、支援者が「語らせる者」から「共に受け取る者」へと変化することを促す。これは、支援文化そのものを柔らかくし、対話的で応答的な支援へと転換する可能性を持っている。
なかじま まなぶ〈中島学 福山大学人間文化学部教授〉
<「まえがき」より一部抜粋>
読みあいの経験と、社会的擁護の現場で行われている「ケア」、そして保育の現場で育まれてきた「立ちあう」というまなざしが、次第にひとつの問いへと収束していきました。
―人と人の関係は、どのようにして立ち上がるんだろう。その立ち上がりのきっかけとなるような優しい方法はないかしら―
絵本の読みあいの場では、あなたと私が、同じ物語の中に身を置き、互いの声を受け取りあいます。けれど、孤独な時間を支えられる経験をもたなかった人にとっては、言葉や活字だけで自分に触れることは、あまりに難しい場合もあります。私にも養護施設で、子どもたちとの読みあいのタイミングがうまくつくれない時期がありました。
そんなとき、白い紙と色鉛筆が、思いがけず対話の入り口になってくれました。誰かがそばに「立ちあって」いる。そのまなざしを感じながら、自分の内側にある暗さや、言葉にならない思い、よろこびやかなしみを、色や形にしていく。描き終えたあとの、なんとも言えない満足そうな表情や、一本ずつ大事そうに鉛筆をケースに戻すしぐさ、ぽつりともらすひとこと。そうした小さな動きが、自分で自分の内側に立てるようになるための足場になっていくのを目にするうちに、絵を描くことを含んだワークのかたちが生まれていきました。
<目次より>
はじめに
これは誰のためのワーク?
本書のワークが目指すもの
ワークの作法
夜明けに漕ぎだす8つのワーク
特別収録「わたしを旅する なんじゃもんじゃブック」
Elisa Carareto Alves〈2025ボローニャポートフォリオアワード受賞〉
しらとあきこ「ヒミツをうめたら?」
こしだミカ「こうらのもようは?」
小川すはる「ふしぎなふしぎなナミダのチカラ」
こしだミカ「のっけてみる?」
こしだミカ「おめんをつけたら」
近藤薫美子「見えない世界に行ってみよう」
さげさかのりこ「どこ? ここ」
佐藤真紀子「容れちゃおう」
実践 旅の記録 村中 李衣
1 バリアは、だめ!
2 ね、箱燃えたから、もういいやん
3 ここよ、ここ
COLUMN1 絵本の読みあいから、すうっとワークへ
4 ぼくのあたまの中にあるのは、どく。あかいどく
5 いっぱい旅したからね、つかれて眠ってるの
6 わたしは、逃げる場所がありません。隠れた方が危険です
COLUMN2 運命の赤い糸
7 私はまだ子どものカメです
8 埋めたら、それっきり
9 ほっとけない感じだなぁ
COLUMN3 引き出すのでなく感じ入るということ
COLUMN4 ワーク座礁記
10 ヒミツの種は、地に足つけるための私の体の一部です
11 埋めたらそれで終わりじゃないんだなぁ VS ヒミツは言わないです
12 結局ね、ひとつの容器では、心を守ることは難しいな
13 過去の嫌なことは二度と見たくないし、においも
14 その涙あってこそ、認めてこそ
COLUMN5 海外での柔軟な活用
COLUMN6 どこでもワーク
いざ実践! でもその前にあらためてQ&A
理論 旅の羅針盤 なかじま まなぶ
言葉にならない経験を描くー絵図を用いた「表象的対話ワーク」の構造と臨床的意義
各論 ワークの可能性
ほんとうにたいせつなことーよむふむ活動でのワーク体験から考えること 日下紀子
子どもたちから学んだ3年間を振り返って 流尾正亮
絵本や絵を用いたワークの活用可能性ー非行・犯罪臨床の現場から 佐々木彩子
あとがきにかえて 「寄り添うケア」から「立ちあうケア」へ
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