移民・難民・アート
移民・難民・アート
著者/川上幸之介、髙谷幸(編著)
出版社/ヘウレーカ
サイズ/372ページ 19*13cm
発行(年月)/2026年2月
移動と共生の時代にふさわしい想像力
移民・難民をめぐる問題を、社会のあり方を問う根源的な問いと捉え、アートがそれにどう応答しうるかを多角的に探る論集。
第Ⅰ部「アートの実践と倫理」では、アートが世界に介入することの意味を問い、表現と倫理、実践と責任はいかに交差するのかを検討する。当事者との協働を通じて制度の外部に連帯を築き、不可視化された声を可視化してきた各地のコレクティブやプロジェクトの紹介、美術館という制度の暴力性への批判、移民に依存する社会構造の検証、政治的実践としての表現などの論考を通じ、アートは単なる鑑賞対象を超え、生や倫理に触れる営みとなることが明らかにされる。
第Ⅱ部「周縁からの美術史」は、移民や難民がいかに表象され、あるいは不可視化されてきたのかを、美術史の視点から問い直す。近年のトランスナショナルな視座やディアスポラ研究の潮流を踏まえつつ、19世紀フランスから現代日本までを射程に、帝国主義、亡命、周縁的実践などを扱う諸論考が、美術史の枠組みそのものの再検討を試みる。そこでは、「異質」が芸術実践にもたらす緊張と創造性、そして歴史から消去されてきた表象の力が再発見されていく。
第Ⅲ部「移民・難民をめぐる感性の政治」では、制度的なカテゴリーの手前、あるいはそこからこぼれ落ちる身体の記憶や感情、経験に焦点を当てる。映像や語り、哲学的思考、制度批判的美学、さらにはAIをめぐる実践までを視野に入れながら、移動の時代において、移民・難民の声なき声がいかに芸術を通じて立ち上がるのかを探究する。
<目次より>
なぜ移民・難民とアートなのか(川上幸之介)
移動する人々はいかに「国民」と区別され、制限を受けてきたか(髙谷 幸)
第Ⅰ部 アートの実践と倫理
01 文化を接木する――越境する個人とオルタナティブ・スペース(江上賢一郎)
▼インタビュー 印刻部
▼インタビュー わくせいプロジェクト(阿部航太/児玉美香)
▼コラム 高齢化する移民女性の実践――カサカランの取り組みから(髙谷 幸/レニー・トレンティーノ)
02 移民・難民とミュージアム(小森真樹)
▼コラム 不可視の支柱――移民が築くマジョリティ社会の足元(川上幸之介)
03 いかにしてアートでものごとを行うか――タニア・ブルゲラによる移民・難民関連プロジェクト(菅原伸也)
▼インタビュー アルフレッド・ジャー
04 テレサ・マルゴレスと「カーラ」の生と死(藤本流位)
▼インタビュー 崔敬華
第II部 周縁からの美術史
05 あなたのマイノリティとしての経験――記録されなかった、ある在日朝鮮人美術家の話 (金 智英)
▼コラム 近代日本に芸術移民した朝鮮人・台湾人の芸術家たちのこと(足立 元)
06 「異国」の人々へのまなざしとその表象をめぐって(請田義人)
▼ コラム 沈黙を編むこと――移民・難民とアートの交差点
07 時代からの逃走――第一次世界大戦下の移民たちによるダダの思想とアナーキー(森 元斎)
08 トランスナショナル・アート・ヒストリー ―― 他なる語りのために(山本浩貴)
▼コラム 引かれる線に無関係であること――重村三雄の調査報告(長谷川 新)
第Ⅲ部 移民・難民をめぐる感性の政治
09 クィアな日系アメリカ人の歴史を書く――TTタケモトの実験映画(菅野優香)
▼インタビュー ミミ・チ・グエン
10 ジャック・ランシエールにおける移民の(脱)規定(鈴木 亘)
11 移民をめぐる「美学/政治」とアート(石田圭子)
▼コラム 語られざる記憶を紡ぐ――移民・難民にとってのアート(川上幸之介)
12 二一世紀のメカニカルタークとその彼方へ――アルゴリズム・移民・ケアをめぐる芸術の政治学(清水知子)
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