さっちゃんのまほうのて

作／たばたせいいち、先天性四肢障害児父母の会・しざわさよこ、のべあきこ
出版社／偕成社
サイズ／40ページ 27*19cm
発行(年月)／1985年10月

小学生になったら、さっちゃんの指、はえてくる?

幼稚園のままごと遊び。さっちゃんは、とってもお母さんになりたかったのです。でもお母さん役は、いつも背の高い子。今日、さっちゃんがお母さんの役をやりたいと言ったら、大騒動になりました。
「さっちゃんはおかあさんにはなれないよ!　だって手のないおかあさんなんて変だもん。」
先天性四肢欠損という障害を負って生まれたさっちゃんの右手には、指がありません。さっちゃんは幼稚園を飛び出して家に戻り、なぜ自分の右手には指がないのか、お母さんに迫るのですが・・・。さっちゃんのつらい気持ちと、見守る周りの子どもたち、大人たち。指のない手を、「不思議な力をくれるまほうの手」と言ったお父さんのことばで、さっちゃんは新たな一歩を踏み出すきっかけを得て・・・。
こころに深く迫る物語は、童話作家・田畑精一さんと、先天性四肢障害児父母の会・野辺明子さん、志沢小夜子さんの共同制作で誕生しました。すがすがしい読後感に満ちたロングセラー絵本は、違いを乗り越えて共に生きることの意味を、私たちにやさしく語りかけます。「あ、さっちゃん!」子どもたちは、この絵本が大好きです。偏見を持つことなく、まっすぐに受け止められるその瑞々しい感性は、とてもまぶしく見えます。子どもはもちろん、大人の方にも手に取っていただきたい珠玉の一冊です。(5歳～大人まで)