あっちの耳、こっちの目
あっちの耳、こっちの目
作/ミロコマチコ
出版社/カノア
サイズ/104ページ 20*30cm
発行(年月)/2022年8月
なんでうわぎがあそこさあるんだ、ヘンだなーと思って。
絵本作家・画家 ミロコマチコが、東北の人たちから聞いた野生動物にまつわるおはなし(あっちの耳)と、動物から見た創作のおはなし(こっちの目)を表と裏で対にして、広げてたのしむじゃばら式の絵本に仕立てました。紙芝居の前に座って、これからはじまる物語にワクワクするように、じゃばらをめくってパタパタ広げて、ぜひ声に出しで読んでください。そうやって、あっちの耳とこっちの目の世界に触れたら、きっと動物側の物語にも想像がふくらむことでしょう。
「カモシカ」「クマ」「ウサギ」「トリ」「ヘビ」「コウモリ」の6冊のじゃばら式絵本と、前書き付き別刷解説書を、オリジナルスリーブケースに収納しました。ケースを開くとき、そして6つの動物の物語に出会うとき、ミロコマチコの描く生きものたちに圧倒されるはずです!
・ケース:A4変型判 (たて201ミリ×よこ297ミリ×あつさ16ミリ)
・絵本:各16ページ (たて166ミリ×よこ128ミリ)
・解説書:四つ折り (たて520ミリ×よこ336ミリ)
<前書きより>
動物の目になる
この6つの動物の立体作品は、「山形ビエンナーレ2016」のために作ったものだ。
はじめは、依頼を受けてから、しばらく悩んでいた。というのも、当時、キュレーターだった宮本武典さんから、「市民や学生のみなさんといっしょに何か作ることはできないか?」と、問いかけられていたからだ。ずっと一人で制作してきた私にとって、誰かと作品を生み出す想像がつかず、途方に暮れていた。確か、はじめての打ち合わせで「何もやりたいことがない」と、正直に伝えた。そのときの落胆した宮本さんの顔をはっきりと覚えている。
そこで宮本さんが、東北に生きる動物たちの話を聞いてみないかと提案してくれた。そのことにはとても興味があった。
後日、有志で集まってくださったみなさんと、はじめましての対面。すでにいくつかの話が集まっていた。それは近所の人や親からの聞き書きというスタイルで、話し言葉のままに文字に起こしてあった。それを聞いてきたご本人に読んでもらった。
独特の東北弁や擬音語。なじみのない動物。作り話ではないので、なんてことはない話だったりする。だからこそ、そのとき動物にとってはどういう出来事だったんだろう、と想像がふくらんだ。
同じシチュエーションでも、人間と動物とで違う物語がある。だったら、私が動物の目になって話を作ろう。表と裏があるような絵本を作りたい。東北弁の響きを体感できるような。そう考えると、昔の紙芝居屋のように、扉が開いたら中にお話がつまっているようなものがいいな、そうだ、それぞれのお話を主人公の動物が引っ張ってきて、紙芝居屋になってもらおう。スルスルとアイデアが出て、一気に道が開けた。
それから、みんなで6つの野生動物にまつわる体験談を集めた。その中から動物ごとに1話選び、そのときの動物側から見た話を創作し、山車(だし)の外側と内側にそれぞれ描いた。
2020年にはじまった美術館での巡回展「いきものたちはわたしのかがみ」では、学芸員の方が「この作品がターニングポイントだった」と解説してくださっている。私の身近にはいない、かかわりがないからこそ憧れて描いていた動物たちが、ぐっと近づき、かかわりはじめた瞬間だったようにも思う。動物たちは心を揺さぶり、創作意欲をかき立て、生き方にも迫ってくる。
この本は、その立体作品を書籍化したものだ。野生動物にまつわる話(あっちの耳)と、動物から見た話(こっちの目)を表と裏で対にし、広げる蛇腹状の絵本に仕立てた。紙芝居屋の前に座って、これからはじまる物語にワクワクするように、絵本を広げてもらえたらと思う。それ以外の、たくさんの人から聞いたお話から、動物側の物語を想像してもらいたい。そして、ぜひ声に出して読んでみてほしい。(ミロコマチコ)
<目次より>
・まえがき
・カモシカのおはなし
「カモシカとのかくとう」
「人間とのかくとう」
・クマのおはなし
「ある日、森のなか」
「ふしぎないきもの」
・ウサギのおはなし
「うわぎと思ったら…」
「しげみの正体」
・トリのおはなし
「金魚どろぼう」
「赤いくちばし」
・ヘビのおはなし
「ヘビの魔性」
「ヘビとネズミ」
・コウモリのおはなし
「コウモリの寝どこ」
「ぼくの夢」
・解説
・エピソード(カモシカ、クマ、ウサギ、トリ、ヘビ、コウモリ)
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<関連書籍>
『ヒワとゾウガメ』
『たいようがわらってる』
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