子どもたちの階級闘争
子どもたちの階級闘争
著者/ブレイディみかこ
出版社/みすず書房
サイズ/296ページ 19*13cm
発行(年月)/2017年4月
地べたのポリティクス
2008年、著者が保育士として飛び込んだのは、英国で 「平均収入、失業率、疾病率が全国最悪の水準」 と言われる地区にある無料の託児所。「底辺託児所」 とあだ名されたその託児所は、貧しいけれど混沌としたエネルギーにあふれ、社会のアナキーな底力を体現していた。この託児所に集まる子どもたちや大人たちの生が輝く瞬間、そして彼らの生活が陰鬱に軋む瞬間を、著者の目は鋭く捉える。ときにカラリとしたユーモアで包み、ときに深く問いかけながら。
著者が二度目に同じ託児所に勤めた2015-2016年は、経済主義一色の政策が、子どもの暮らしを侵蝕している光景、そしてグローバルに進む 「上と下」 「自己と他者」 の分断の様相を、微視的に描写する。移民問題をはじめ、英国とEU圏が抱える重層的な課題が、背景に浮かび上がる。
「わたしの政治への関心は、ぜんぶ託児所からはじまった。」 英国の地べたを肌感覚で知り、貧困問題や欧州の政治情勢へのユニークな鑑識眼をもつ著者が、保育の現場から格差と分断の情景を鮮やかに切り取る。
いま思えば毎日が驚きと、怒りと、
目の前で起こっていることへの信じられなさと、
こみあげる嫌悪感の連続で、
そのくせほんの時折だったとはいえ、
こんなにきれいなものは見たことがないと
思う瞬間に出くわした。
底辺託児所で出会った人々は、
子どもも、大人も、
そうした能力のあるなしにかかわらず生き、
それでよしとして堂々と生かされていた。
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<関連書籍>
『女たちのテロル』
『ワイルドサイドをほっつき歩け』
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