綾蝶の記 あやはびらのき
綾蝶の記 あやはびらのき
著者/石牟礼道子
出版社/平凡社
サイズ/328ページ 19.5*13.5cm
発行(年月)/2018年6月
文字にすれば遠くまで伝わるから
『花びら供養』に続くエッセイ集第二弾にして追悼の書。『全集』未収録の文章のほか、インタビュー、対談、書評を収集。石牟礼道子作品に通底する、文字以前の世界との目眩く共振、陽光の中の闇に瞬く言霊の旋律に、今こそ出逢い直したい。編集・:渡辺京二。
「この世にまだ、いのちを得ぬものたちの世界に、
半ば身を置いている、という感じが、
もの心ついて以来ある。
自分は海の中に漂うものである、
あるいは闇の中の無意志の意志なのかもしれぬ
という思いがそれに重なる」
「半ば盲いてから、光や色彩が、
いや闇でさえも音符や言霊を伴って蘇るようになった。
全盲になったら、それらはどんな風にやってくるだろう」
「水俣病の患者さんもそうですが、
神様ていうのを信じてるんですね。
一つの宗教を信じてるというんじゃなくて、
魚も神様で、
海にはもちろんえびすさまという神様がいて、
草にも石にも神様が宿ってて、
ともかく命のあるもの、
普通ないと思われるもの、
物質と思われてるものにも
全部命があるというふうに
水俣の人たちは思っている」
「私は、人類という言葉は使いたくありません。
人間も含めて全て生類で、
私は、生類たちには魂があると思っています」
(本文より)
<目次より>
第一部 光
光の中の闇 わが原風景
手形の木 見田宗介さんへ
祖様でございますぞ
もうひとつのこの世とは
魂の珠玉たち
外車の船
不思議なる仏法
憂悶のたゆたい
現代の恋のさまざま
「狂」
「わが国の回復を」
第二部 祈
魂がおぞぶるう
いま、なぜ能『不知火』か
水俣から生類の邑を考える
国の情はどこに
道づれの記 「鬼勇日記」を読む
「わが戦後」を語る
近代の果て
三・一一以降を生きる
第三部 歌
風流自在の世界 『梁塵秘抄』の世界
『梁塵秘抄』後書について
後白河院
大倉正之助さん
沢井一恵さんのこと
地の絃 神謡集その一、沢井一恵さんの箏
言葉に宿り、繋いでいく精神
書くという「荘厳」
含羞の句
私の好きな歌
[対談]言葉にならない声 × 池澤夏樹
[対談]苦しみの淵に降り立つ音 × 坂口恭平
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