「市」に立つ 定期市の民俗誌
「市」に立つ 定期市の民俗誌
著者/山本志乃
出版社/創元社
サイズ/304ページ 19*13cm
発行(年月)/2019年4月
「いくらで買うか」よりも、「だれから買うか」
海から、山から、里から、それぞれの産物を持ち寄って売り買いする定期市は、小商いの原点である。しかし市は、ただモノを売買する場ではない。売り手と買い手が一対一で顔を付き合わせ、互いに慮る場であり、金銭とは別の価値基準がある。
「かつての職人は、モノを作っているところを見せて売っていた。
そうやって手の内を見せることで、
客と心を通わせ、信頼を育んできたのである」
「継ぐときに、おやじにいわれた。
シキビサカキは、もうけて売りよったらいかん。
貧しい人も金持ちも、神も福もあるき、
貧しい人にもまつれるように売らないかん」
民俗学者として30年にわたり各地の市を見つめ続けてきた著者が、丹念なフィールドワークにより市に集う人々の営みとその意味を読み解く。市には、社会を生き抜くための知恵がある
<目次より>
はじめに 市の立つ風景をさがして
第1章 市稼ぎの日記――房総の畑から
大多喜の五・十の市/朝市のいわれ/之子さんの日記/昭和四十二年/変わりゆく仕事/市稼ぎへの選択/野菜から加工品へ/正月飾り/市に行くからおかずがある
第2章 日本一のストリート・マーケット――土佐の日曜市
日曜市の朝/三〇〇年の歴史/市を支えるしくみ/市役所の街路市係/終戦のころ/観光客がやってきた/日曜市のうた
第3章 〝いごっそう〟の商売哲学――街路市の名物翁に学ぶ
サカキとシキビ/親子二代で六十年/シキビをまつる習慣/シキビの流通/山主と切り子/薄利多売がモットー/三十円のおばあちゃん/カミ、ホトケは見ゆう
第4章 市回りの歳時記――女川のコンブヤさん
古川の八百屋市/市を回って五十年/仙北地方の互市/山形の初市/市回りの一年/被災、そして再出発
第5章 震災を越えて――気仙沼の朝市
「気仙沼方式」/イチからマチへ/オイルショックのころ/振り売りから朝市へ/3・11/復興への道/朝市の笑い声
第6章 転生する朝市――小さな「見世」からの発信
野根キッチンのこけら寿司(高知県・東洋町)/「鬼嫁」たちの三八市(鳥取県・湯梨浜町松崎)/全国朝市サミット協議会
おわりに 市の風にあたる
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