遺言 対談と往復書簡
遺言 対談と往復書簡
著者/石牟礼道子、志村ふくみ
出版社/筑摩書房
サイズ/304ページ 15*10.5cm
発行(年月)/2018年9月
生類の都は いずくなりや
石牟礼:今しないと、だめですね。
志村:やっぱりそうですね。
石牟礼:もう間に合わない。
東日本大震災後、自らの仕事の根本が揺らぐように感じた染色家・志村ふくみが、長年交流のあった作家・石牟礼道子へ手紙を送ってはじまった往復書簡。ちょうどその時、石牟礼は生涯最後の作品として新作能「沖宮」を構想しているところだった。
石牟礼:あの色を見て、これだと思った。・・・(中略)
その場面でどんな衣装を着せようかと。
沖に向かってゆくあやを
村の人たちが涙を浮かべながら
「よかところに行こうぞ」と拝む場面に
ふさわしい色の衣を着せたい。
「沖宮」の、終わりの場面は、死ぬんじゃないですよ。
「沖宮」というのは命の生まれるところ。
「沖宮」のメイキングストーリーとしても読める本書は、石牟礼道子と志村ふくみ、ふたりが新しいよみがえりを祈り紡いだ、次世代への鋭いメッセージ。往復書簡と二度の対談、遺作となった「沖宮」を収録。
志村:言葉の内実となる豊穣な世界を失ってしまっているから、
言葉そのものが生きなくなって、
宙に浮いてしまっている。
目に見えるものしか見ていない、
感じない世の中になっている。
志村: それで私は、手が一番大事だ、手だ、ということを言ったんです。
手こそが物を考えて、物を言う。
手が先に動くんです。手が魂を伝えるんです。
石牟礼: そうです、そうです。手で考えているんです。
ほんと、手を使わなくなりました。
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<関連書籍>
『苦海浄土』
『一色一生』
『色を奏でる』
『志村ふくみ 染めと織り』
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